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日々の記録

歌舞伎町文学賞に出した小説「風俗で働いてますよ日記」公開

風俗で働いてますよ日記 名前氏

 

⭐︎今日はしょっぱなから鼻の穴フェチの客に鼻の穴に指を突っ込まれ、気持ちいいか聞かれ、言葉につまり、気持ち悪いと正直に答えそうになった。だって呼吸できねーよ。

 別の客からは尻を叩かれながら数を数えるという「恥辱プレイ」をさせられたが、恥辱は別に感じなかった。

 むしろ、あー、こんな仕事があるんだなー、やってんと割となんも思わんというか普通に仕事って感じだわ、としみじみと思った。

 その後尻を叩きながら後ろから抜いてくれと頼まれたのでバンバン叩いた。

 そのあと若くて傲慢な顔つきの客に、ババァが来たら何もさせてやらずに追い返すつもりだったけど君は可愛くて若くて得した気分になったよ、と言われた。褒められてとても不快だった。

 なんでこんな仕事してるの、金になるの、おっさんがきたら気持ち悪いか、この仕事長いの、彼氏はいるの、触っちゃダメなの、黙って抜かれていればいいものを抜かれながらも質問攻めにしてきてうざかった。

 なんでそんなことお前に聞かれなきゃならないんだ・・と脱力。

 おっさんかどうかとか好みかどうかとか関係なく、ルールとマナーが守れなくて失礼なお客は嫌いだし差別する客も嫌いだしその逆はみんな好きですよ、(つまりお前は嫌いだ)と皮肉を言ったが通じなかった。 そりゃそうか。

 また別の客。彼氏いないんですか、にいない、と嘘回答をしたら、もったいない、そんな可愛いのに彼氏いないなんて、アドレス交換して店の外で会おうよ、何回か会って親しんだら付き合ってよ、と言われた。

 20分の手コキするのみの着衣コース=千円のバックにしかならない、で一回だけ入った客の癖になぜそんなことになると思える?お前には世界がどう見えているんだ?

怖かったので名刺も渡さず、店の外では会えませんとキッパリ告げ、事務的に抜いた。

 会えませんと言わずに仲良くなったら、とかお互いにもっと知ったら、とか適当なぼやかしワードを使って焦らして焦らして店に来させるという作戦を使うにはおっかなすぎる客だった。

 というかそんな作戦誰に使ったって本来リスクだ。でもそういうことしないと客は来ない。      

 風俗嬢相手に本気になってしまう客が求めてるものは、客にとっては恋愛だったとしても、風俗嬢からしたらノーを金であらかじめ奪った上での恋愛っぽい雰囲気というかニセ恋愛で、都合の良い女を演じ代が発生するのは当たり前のことなんだけど、そういう客は自分がしていたつもりの恋愛が擬似だったとわかると騙されたとか金をとられたとか言って被害者ぶるのでタチが悪い。

 欲望を催したのは自分なのに、行為を買った自分を透明にして、女の側にだけエロで自分を傷つけ騙す売春婦というレッテル張りをして、穢れを押し付ける定番のやり口を感じてうんざりする。

 キャストと客の境界を引きつつうまく煙幕をかけて客には境界が見えないようにすることが仕事内容に含まれてることをいつもありえんと思う。

 その時間だけ全力で優しくしてあげてチンコをうまくしごいてちょうどいい頃合いにいかせてあげるだけではどうしてダメなんだろう。 

 みんなさびしいのかな、さびしさをさびしさのままどうして心の中に置いて置けないんだろう、さびしさをつかってプレイをしにきてもいいけど、みんなさびしさを暴力にして盗みやすい私たちからちょっとずつ盗む。

 できることなら客を憎まず仕事をしたいが、憎悪すらエネルギーに転化して顔を作って生き延びるしたたかさがないとここでは生き延びられないのだ。

 今日はもう疲れたし、疲れると頭がオーバーヒートして言葉をどんどん吐き出すが、それらの言葉は見られることも聞き届けられることも応答されることもなく捨てられる。

 でも一体誰に捨てられるんだろう。私にか、もっとでかい誰か?

余計なことを考えすぎた。

牛丼食ってパズルゲームやって寝る。

化粧は一枚でメイク落としから保湿までやってくれるとかいう嘘くさいシートで適当に落とす。

 


Twitterやってたらとある歌舞伎町を名前に冠した文学賞の告知を見た。サイト見に行ったけどいくらなんでも歌舞伎町で働いてる人に心の闇とかアウトサイダー性を期待しすぎている気がして困惑した。

待機室では写メ日記で営業のために練った一見そうは見えない作り込まれた日常の文章を日に2、3回投稿して空いた時間はTwitterの裏垢で毒吐きつつ営業ツイもして、さらに暇な嬢は本を読み大学の課題をやり、というのが風俗、やたらめったら書いたり読んだりしている集団。

舐めてかかると痛い目見るよ。

 


☆今日はどうも体調が悪く疲労感もひどく、家を出る30分前まで起き上がれなかった。「洗顔、シャンプー、体洗って髪乾かして着替えて保湿して化粧」をすごくすごく頑張って30分で完了させて家を出たから遅刻はしなかった。

顔は、ちふれのオールインワンジェルの上にレブロンのリキッドファンデ、キャンメイクのコンシーラーでベースを作って、ちふれのベージュの二色シャドウで眉とアイメイクどちらもやった(5分)。

店に着いてからメイベリンのウォータープルーフのマスカラを二度塗りして、エクセルのパウダーチークを塗って韓国のティントグロスを塗った(5分)。

 我ながら化粧が雑すぎだけど、真面目に化粧しても私の顔は骨格がしっかりしすぎていてケバくなる。ちょっと手抜きくらいの方がナチュラルになるし表情も優しくなるしでお客さんウケが良い。

 しかし店の人には化粧もっとちゃんとしろとやんわり怒られた。眉毛つりあがってると言われて確かになーと思った。

 アイラインはやめないで茶色のリキッドで目尻と目頭にちょっと引く、眉はまゆマスカラとパウダーとペンシルでちゃんとフラットに作る、肌はセミマットになるように仕上げにパウダーちゃんと塗る、などの一ナチュラルに見せつつの手間をちゃんと重ねようかな・・・

疲れてない時は何の手間でもないんだけど、疲れているとその細かい作業1つ1つが重圧。

 服は黒地に白のバラの花柄のワンピース、

(中古の安ギャル服300円)、その上にグレーの腰まであるカーディガン(中古ジュエティ600円)、靴はピンクのウエッジソールのパンプス(安物ギャル靴900円)下着は黒でカップカップの間が金色の輪っかになってる水着っぽいやつ(キャバ嬢御用達のネットサイトで1200円)

カバンは黒の合皮の雑誌の付録(800円?)

下着靴バッグ込みで全身3800円。

安すぎるよ。

でもラブホの床にじかに置くカバンだの

お客さんにローションやら汗やらよだれや最悪の場合精液をつけられて、引っ張られたり揉まれたりする服や下着にあまり金かけたくない・・。

タバコ臭も吸うし着脱も多いから傷むのも早いし。

 安いギャル服屋のワンピースは生地が薄くて露出が多くてとにかく涼しい、ファスナーがないし上下つながっているし胸元開いてるので着脱も簡単、しかし風俗で働くのに便利な服って着るとやっぱりなんともいえない玄人感というか風俗嬢感を醸し出すね。

 風俗嬢なんだし、風俗嬢に見えるのはいいんだけど、そのことで不当な扱いを受けるのは勘弁。

その格好にさらにサングラスをかけてたら10分くらい繁華街を歩いただけでキャッチやらからかいに3回も遭遇した。

 帰りはスウェット素材のスライのグレーの長めのオールインワンに髪の毛低めのひとつ結び、黒のサンダルというシンプルな格好に着替えて歩いたので不快な目に遭わなかった。

性的誘引に向いてる服を着ているとハラスメントまがいの行為に遭遇する率上がってしまう。

それを見越してわざわざエロくない服に着替えて帰るんだけど、面倒くさい。エロくないからという理由で叩かれることもあればエロいと言っては声かけとかセクハラをされることもあり、結局どこの位置にいても何着ててもいろんな形でしんどさが振りかかってくる。

みんな女という存在をなんだと思っているんだろーね。こわいね。

 


☆ 私の働いてるお店には痴漢コースというのがあって、仕事内容はというと、丈短くてヘソ見えるセーラー服を着せられて、服の上から痴漢ぽいことをされて、最初は嫌がるんだけどだんだん気持ちよくなってきちゃった、みたいな演技をして、お客さんのちんこをしごいてあげて制服に精液をぶっかけさせること。

だいたい三十分。

そりゃそうだが私は気持ちよくならない。

ちなみにニセのつり革と電車の音が鳴る音楽プレーヤーも使う。

リアリティの追求のつもりなのかもしれないけど多分逆効果だし、キッチュさと胡散臭さがアップするからつり革とiPodあったほうが私はいいなぁ。

チンコなめないし服脱がないしらくなのに、脱ぎありの手で射精させる仕事より給料がいい。

演技代か??

ちなみに私は電車内ではないけど痴漢被害とか性暴力被害にかつて何度も遭っている。

この仕事の中でも外でもそうだ。

 性暴力被害者の私が加害者を演じたい人間の欲望のために歪めた性犯罪被害者のパロディをやって射精の手伝いしてるのはグロいっちゃグロいかも。

しかし金もらってるし、客もそういうプレイだとわかってやってるからアリなのかなーと思ってはいるのが人間の心の不思議なところ、フラッシュバックも起きない。

 考えてしまうのは、風俗嬢にお金払って痴漢プレイをさせたい人の欲望ってどんなもんなの?ということで、私本当に痴漢されたことあるよ、と言ってたら、彼のちんこは膨らんでたかしぼんでたか。

もし膨らんだとしたら、膨らんだ後恥るかな?

 こんなことを考えていてもキャバ時代のように酒飲むストレスないし肌荒れ蕁麻疹治っちゃった。

仕事は順調なのかも…とかいいつつバックれるかも知んないね。なんだって気分次第だ。

待機室ではいつもお客につくまでダニ毛布きてすやすや寝ている。

写メ日記書いたら、次の出動まで寝ますね、さよなら。